自動車などを運転するためには運転免許が必要になるわけですが、この運転免許を取得するためには教習所へ行き、教習を受けるのが一般的です。しかし、教習所を具体的にご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、自動車教習所の目的や役割などについて説明していきたいと思います。
目次
教習所とは?
教習所とは、運転免許の取得を目指して、定められている法令や運転技能などを習得していくための教育訓練施設のことを言い、日常生活や仕事などで自動車を運転するにあたって、交通事故や交通違反が起こらないよう正しい知識や技術を身に付けてもらうことを目的として運営されています。日本全国の各地域に約1,200校以上の教習所が点在し、免許取得のための教習以外にも、体験型の交通安全教室の開催や、免許更新を控えた70歳以上の方の高齢者講習を行うなど、公安委員会と連携して地域の交通安全教育の役割も担っています。運転免許取得の教習については、は宿泊して短期集中でカリキュラムを進めていく「合宿免許」か、教習所に都度通って教習を進めていく「通学免許」の2通りのパターンがあります。
免許取得までの流れ
運転免許を取得するためには、教習所を卒業するか、もしくは試験場で直接試験を受けて合格するかのどちらかの方法で取得することになります。しかし、独学で知識や技術を身につけるのはあまり現実的ではないため、一番の近道であり確実なのは教習所できちんと教習を受けて卒業することでしょう。では、教習所ではどういったことをしていくのか見ていきましょう。
1.オリエンテーションと適性検査
はじめに、入校するにあたって必要書類を確認したり、施設内の説明や教習の受け方など細かな説明をするためのオリエンテーションが行われます。その後は、視力・色彩判別・聴力など、運転免許を取得するために必要な検査が行われ、基準値に達していないと入校することができません。
2.第一段階
第一段階では、自動車を運転するための基礎的な知識や技術を学んでいきます。主に交通ルールや法令などを学習する「学科教習」、教習所内のコースで運転の基本技術を身につけていく「技能教習」の、2つの教習課程を進めていきます。
3.仮免試験
第一段階で定められている学科教習と技能教習を一通り終えることで、仮免許試験を受けることになります。仮免許は公道に出て教習を受けるために必要で、この試験に合格しなければ次へ進むことができません。学科・技能と2つの試験が用意されており、いずれも第一段階で学んだことが試験の内容になります。
4.第二段階
第二段階に入ると基本的な知識や技能に加えて、更に専門的なことを学んでいきます。学科教習では交通ルールはもとより、交通事故防止に関してや危険予測・保守点検に関することなど、より具体的な内容になる他、技能教習では公道を利用しての教習がメインとなるため、教習所内での運転よりもより正確な運転が求められます。
5.卒業検定
第二段階を終えると、教習所を卒業するための「卒業検定」に進むことができます。言わば、これまで学んできたことや練習してきたことの集大成で、教習所内のコースと公道で行われる技能試験です。この卒業検定に合格することで、すべての教習課程が終了し、晴れて教習所を卒業することができます。
6.本免許試験
教習所を卒業しても手渡されるのは卒業証明書のみ。運転免許証は教習所で交付されるわけではなく、住所地の免許センターにて交付されます。しかし、運転免許を取得するには、本免許試験を受験し、これに合格する必要があります。教習所(※)を卒業した場合、技能試験は免除されるため、受験するのは学科試験のみです。正真正銘、これが最後の試験で、この本免許試験に合格することで運転免許証が交付されます。
※指定自動車教習所(公認自動車教習所)の場合
教習所に入校後の流れについては「入校から卒業まで」もお読みください。
教習所で取得できる運転免許の車種
教習所によって取り扱っている運転免許の車種が異なりますが、教習所では普通車免許はもちろんのこと、二輪車(バイク)免許や、運送業界などで使われる中型・大型免許など、様々な運転免許の取得を目指すことができます。教習所が取り扱う車種は大まかに分けて以下のようなものがあります。
普通自動車運転免許(AT・MT) |
準中型自動車運転免許 |
中型自動車運転免許 |
大型自動車運転免許 |
大型特殊自動車免許 |
けん引免許 |
普通自動車二種免許(AT・MT) |
中型自動車二種免許 |
大型自動車二種免許 |
普通二輪免許(AT・MT) |
大型二輪免許 |
「○○教習所」と「○○自動車学校」の違い
「~教習所」や「~自動車学校」、はたまた「~ドライビングスクール」、「~モータースクール」など様々な名前を耳にしますが、「何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?実際のところ名前の違いはあれ、いずれも名称が違うからといって学ぶ内容が変わったり、試験の合格率に優劣があったりなどといったことはありません。ですので、教習所を選ぶ際には特段、学校の名前を気にしたり、心配したりする必要はないので安心して良いでしょう。これら教習所の呼ばれ方としては、地域差もあるようですが一般的な総称として「教習所」「車校」と呼ばれることが多いようです。名称による違いこそありませんが、教習所によって教習車や併設施設、教習生に向けたサービスや特典などに違いがありますので、教習所を選ぶ際にはこういったポイントを押さえてみると良いかもしれませんね。
指定自動車教習所と届出自動車教習所
自動車教習所には「指定自動車教習所」と「届出自動車教習所」と2種類があります。どちらも運転免許の取得のための教育訓練が目的であることに変わりはありませんが、この2つの自動車教習所には大きな違いがあります。
指定自動車教習所(公認自動車教習所)
指定自動車教習所は、定められた厳しい基準をクリアして各都道府県の公安委員会から公認を受けた教習所のことを言います。運転免許を取得するために必要な全国共通のカリキュラムが設定されていて、指定自動車教習所であれば運転免許を取得するための過程を全て教習所で終えることができ、運転免許の試験場での技能試験が免除されるのが特徴です。卒業後は、運転免許の試験場で学科試験のみを受けて合格すれば免許が交付されます。運転免許を取得する際には、基本的にこちらの指定自動車教習所で教習を受ける方が大多数と言えるでしょう。
届出自動車教習所 (非公認自動車教習所)
届出自動車教習所は公安委員会より公認を受けていない自動車教習所のことを言います。公認を受けていない場合、必ずしもカリキュラムに沿った教習を行う必要はなく、教習時間や教習内容を自由に設定できるため、苦手な項目の教習を重点的に受けるといったこともできます。免許を失効してしまった方や取り消し処分を受けてしまった方など、既に運転経験がある方などが主に利用される傾向にあるようです。指定自動車教習所とは違って、教習を通して試験などは行われない他、技能試験の免除などもないため、全ての試験を試験場で受ける必要があります。指定自動車教習所で教習を受けるよりも料金は安いですが、試験場での試験対策という意味合いの方が強いかもしれません。
おわりに
いかがでしたでしょうか?ただ単に運転免許を取得させるためでなく、地域の交通安全などにも自動車教習所は欠かすことができない存在です。みなさんも自動車教習所でしっかりと安全に運転ができるよう知識や技術を磨いて、素敵なドライバーを目指してくださいね♪